赤ちゃんの発達と音楽

①耳はいつから聞こえるの?

 胎生27週ごろには聞こえ始めています。お腹の中にいるときに聞いていた音楽を、生まれたばかりの赤ちゃんは覚えているとも言われています。

生後6か月ともなると、音の出ている場所や、その音や音楽の聴き分け、目もしっかりと見えてくるので、視覚情報と照らし合わせて音や音楽を十分楽しむことができるのです。                    

 

赤ちゃんの視力はどれくらい見えているの? 

生後3か月で「0.1」、6か月では「0.2」ほどで、遠くのものはよく見えないけれど、近くの物であれば、明確にみえるのです。けれど、赤ちゃんは「コントラスト感度」が未熟なので、薄いものが見えにくく、霧がかかったような、うすぼんやりした世界です。

赤ちゃんは、縞模様や水玉模様を喜んで見て、白と黄色の縞模様のぬいぐるみなどが好きです。また、ピカピカしたものや、光り輝くものも好きですね。それは、霧がかかったような世界の中でもそれらが「見えやすいパターン」だからなのかもしれません。                   

 

赤ちゃんは人の顔を好んで見ます!

うすぼんやりした世界にあって、人の顔は、目、目、口と逆3角形にくっきりと浮かび上がるわかりやすい図形で、赤ちゃんの視覚は顔に備わったいくつかの特徴に自動的に反応するようにできているのです。

だから赤ちゃんはじっとお母さんの顔を見つめます。発達が進むとその能力も変化し、3か月になると、自分の意志で顔を見る様になり、5か月では口や目が動く顔を好むようになります。生後7か月になると人見知りをする赤ちゃんが多くなりますが、これはちょうどこの頃に、お母さんの顔を他人と区別して記憶するようになるからです。目や鼻などの配置や特徴など顔全体を見て判断し、覚える力がついてくるのです。8か月頃には、横顔もわかるようになります。

赤ちゃんは生まれた時から人の顔が、それも正面の顔が好きです。

縞縞模様や、キラキラした素材にくるまれ、くっきりとした目と鼻と口がついた、かわいい音の出るガラガラがあったら、それはきっと赤ちゃんが好きなおもちゃになるのではないでしょうか?

 

赤ちゃんへの歌いかけの効果

愛情のこもった赤ちゃんに向けた歌いかけは、強く乳児の注意を引き付けることがわかっています。音楽の持つ情動的なメッセージ性によって、赤ちゃんの情緒を安定させます。

 

赤ちゃんに向けた歌いかけは、主に子守歌系と遊び歌系に分けられます。子守歌と遊び歌では音楽的な特徴に違いがあり、その歌い方も違います。子守歌は落ち着かせるように歌い、遊び歌はリズミカルに明るく歌います。実は聴いている赤ちゃんの様子にも違いが見られます。子守歌を聴いているときは自分の手足や、握っているおもちゃを眺めるなど、自分自身に向ける時間が長くなり、一方で、遊び歌を聴くときは、お母さんや自分以外の人や物により注意をむけます。つまり、子守歌は赤ちゃんの注意を内側に、遊び歌は、外側に向かせるのです。子守歌は低い声で、遊び歌は高い声で歌われる方が赤ちゃんの注意を引きやすいこともわかっています。

 

メロディーをつけた単語は学習しやすいことから、赤ちゃんへの歌いかけは、言葉の獲得にとっても有効だと考えられるのです

 

赤ちゃんの聞こえの発達

生後、1~2か月は、そばに行って抱き上げるまで泣き止まなかったのに、だんだん、遠くからの「はいはい今行くからね」といった話しかけなどで、泣きやみ待っていられるようになります。声や、音の聞き方がじょうずになり、お母さんの声や言葉の調子を聞き分けられるようになるからです。大きくなるにつれ、細かい音の違いや、周りの大人が話している言葉を聞けるようになり、やがて発語へとつながっていきます。大切な感覚である聴覚を発達させるためには、歌をうたってあげたり、音の出るおもちゃで遊んであげるなど、赤ちゃんにとって気づきとなる様々な刺激を与えてあげることが大切です。

 

「聞こえる」と「聞く」の違いと、「聞かせる」工夫

私たちの日常は、様々な音であふれていて、赤ちゃんにもそれらの音は「聞こえて」いるのかもしれません。けれど、それらは「聞く」音とは違い、赤ちゃんの発達に深いつながりをもたらすものではありません。赤ちゃんが自分の力を発揮して「聞く」音が意味があり、大人は「聞かせる」工夫をしなければなりません。聴覚の発達が未熟な赤ちゃんがたくさんの音の中から大事な音を聞きとるのはとても難しいことですから、先ずは静かな環境のなかで、○○ちゃんと呼びかけたり、歌や、音を聴かせてあげることを心掛けるとよいと思います。歌のCDも、BGMのように鳴らすのではなく、一緒に歌ってあげるなど関わりを持ちながら「聞かせたら」さっと、きりあげるのもよい方法です。「静」は「音刺激」と同じくらい大事な要素です。